飲食

飲食の病因

飲食不節

飲食は人間生命活動を維持するための基礎であり、後天の精の根源でもある。それは節度ある、バランスの取れたものが望ましい。 飲食の不節制や不潔、及び偏食は発病の原因となる。脾は運化を主り、胃は受納を主っている。

飲食の不節はまず脾胃を損傷するが、他の臓腑や組織器官にも影響を及ぼす。飲食の不節には以下の3つがある。

 

餓飽失常

空腹と満腹で発病 し、これには過度の餓えと食べ過ぎの2つがある。

 

過度に餓えると、気血を生化する源が不足になり、営養を充分に補給できなくなる。長びくと営養失調、気血不足、正気不足、抵抗力の低下が起こり、様々な病症を引き起こす。

 

過食(食べ過ぎ)とは、食物の摂取量や食の回数が多すぎることであり、このために脾胃の負担が増大すると、脾胃の消化吸収や運化能力をオーバーし、水穀が停滞し、食積や食滞を引きおこす。成人より乳幼児の脾胃が弱いから、これらの疾病は乳幼児によくみられるが、食積、食滞による消化不良は、よく「疳積」(栄養障害)を引きおこし、煩躁、よく泣く、院腹脹満、面黄肌痩(顔色が黄色くて痩せること)、手足心熱(手足の中心が熱い)などの症状が現れる。

この他、長期間の飽食も気血の流れに影響し、筋脈の鬱滞をまねき、痢疾(細菌性下痢症)や痔などが発生する。 また脂っこい物や甘い物、濃い味の料理を過食すると、内熱や火が生じやすく、ひどいときには癰疸瘡毒(おできや腫れもの)などの熱毒病証が起こる。

 

飲食不潔

汚染された食物や不潔な食物、或いは誤って毒物を食すると、消化器疾患、食中毒、寄生虫病が起こりやすい。消化器の胃腸疾患には腹痛、嘔吐、下痢、膿血便などが 現れる。食中毒のうち軽いものは、激しい腹痛、嘔吐と下痢などの中毒症状が現れ、重いものは意識不明となり、ときには死亡することもある。

寄生虫病では、回虫、燒虫、条虫などの 腸道寄生虫がみられる。 これにより腹部の激痛、異物を嗜食する、面黄肌痩などの症状が現れる。回虫が胆道内に入り込み這いまわったりすると、上腹部の持続性激痛、口から回虫を吐き出し、四肢厥冷といった症状が発生する。

 

偏食

人体が必要とする営養は多岐にわたっているので、食生活については日常から多様な栄養素を取り込むよう注意を払う必要がある。好き嫌いが激しく、好物だけを多く食べ、嫌いなものを食べないと、栄養素のバランスが取れず陰陽失調をまねき、疾病を引きおこす。

 

偏寒と偏熱:

飲食物にも寒涼温熱の性質があるので、特別に寒、或いは熱の性質をもつ食物ばかりを好ん 食べていると、人体の陰陽バランスが崩れ、疾病が発生する。

 

例えば、冷たいもの生ものや寒涼の性質のものを好んでよく食べると、脾陽を損傷して寒湿が内生しやすく、腹痛や下痢が起こる。また辛いものや油で炒めた熱いものをよく食べると、脾胃の陰液が損傷され胃腸に熱がこもりやすく、院腹脹満、口渇、飲みものを欲しがり、口臭、便秘、痔瘡下血などが起こりやすい。

 

五味の偏食

身体の精神気血は、五味によって作り出されている。五味と五臓は、それぞれ親和性がある。例えば、酸味は肝、苦味は心、甘味は脾、辛味は肺、鹹味は腎に入るという 密接な関係にある。長期にわたり、ある腫の味だけを好み、多食したり、或いは逆にまったく食べなかったりする場合には、臓腑に偏盛、偏衰が現れ、疾病が発生する。例えば、脂肪の多い濃厚な美味しいものを多食すると、痰を生じ、熱に化しやすくなり、眩量、突然昏倒して四肢厥冷、人事不省となる。

 

飲酒を好んで辛い味をむやみに 食べると、脾胃の陰液が損傷され、過量の飲酒が意識を失わせることになる。したがって、日常の食事では偏食しないことは大切であり、適切であるということは、平素から適度な食事量を保ち、病のときになおさら食事に気を配り、制限を守るとともに、食物と食器類の衛生に注意するということである。このように食事と病がマッチすれば治療に有効になり、病を好転させ、病に抵抗する力を強化することができる。