痰飲(たんいん)

痰飲の基本概念

痰飲は、肺脾腎及び三焦という臓腑の機能が失調したために、水液代謝に障害が起こって発生する病理的産物である。粘稠で濁っているものを「痰」といい、それより うすくて清らかなものを「飲」と呼んでいる。また相対的に濁って粘っこいものを「 飲」と呼び、それより清く、うすいものを「水」と呼んでいる。すなわち水がたまってくると飲となり、飲が凝集したものが痰となる。これらをあわせて「痰飲」と 称している。痰には、有形と無形のものがある。有形の痰とは、気道から喀出される痰のことである。無形の痰とは、臓腑経絡中に停滞して塞いでいる痰のことを指し、例えば、擦痙(リンパ結核) 、痰核(皮下のシコリ)、梅核気(ヒステリー球)などの病証は、すべてこの痰邪によって起こり、臨床では症状によってこの痰を確定する。中医学では「怪病多痰」(怪しい病は痰によるものが多い)といわれており、すなわち原因不明の病は痰邪により生じることが多いと考えている。飲は、体内の局部に停滞する水液のことである。停滞する部位と症候の差異により、痰飲、懸飲、溢飲、支飲の四飲に分けられている。

痰邪は内では臓腑に停滞し、外では筋骨皮肉に停滞する。

飲邪は内では胸脇 、胃腸に停滞し、外では肌膚に停滞する。

痰飲の形成

湿が集まると痰飲が形成される。

  • 肺失宣降による水津の停滞

  • 脾失腱運による水湿の停滞

  • 腎陽虚衰による水湿の不化

  • 三焦不通に よる水気の互結

痰飲は、外感六淫、或いは飲食や七情内傷などの原因により、上述した肺・脾・腎及び三焦などの臓腑の気化作用が失調し、水液代謝に障害が起こり、水堀が停滞して形成されたものである。肺、脾、腎及び三焦は、水液代謝に深く関わり、大きな役割 を果たしているから、それらの機能が失調すると、湿が集まり、痰飲が発生する。これにより多種の病症が起こる。「百病多由痰作崇」(様々な病は痰による事が多い)と いう説がある。

痰飲による発病の特徴

痰症状の特徴:

痰が経脈に停滞すると、気血の運行と経絡の生理機能に影響し、臓腑にあると臓腑機能や気の昇降に影響する。痰の所在部位によってその病理的現れが違ってくる。

中医学では痰飲による病を臨床症状から判断するだけではなく、舌診における「腻」の状態も痰飲の重要な所見の1つである。腻は容易に判別できる所見であり、また舌腻をみれば、身体内に痰飲の存在を推測することができる。

痰飲による各部位の症状を表した図

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