中医学の「胆」

胆は六腑の筆頭であり、奇恒の腑でもある。「肝の余気」を受けているとされている。 肝と胆の経脈は、互いに絡属して表裏関係をなしている。

 

 

位置と形態:

肝の短葉の間に付着し「肝の短葉」とも呼ばれている。長梨状である。

 

 主な生理機能:

胆汁の貯蔵と排泄を主り、決断を主る。

 

胆汁の貯蔵と排泄

胆汁は黄緑色の苦い液体である。それが肝の精気が化生したものであり、それがいったん胆に貯蔵された後、小腸に排泄され脾胃の消化作用を助けている。胆汁の化生と 排泄作用は肝の疏泄作用でコントロールされているので、肝の疏泄作用が正常に働いていると、胆汁の排泄はスムーズに行われ、脾胃の運化作用も順調に行われる。

 

しかしこの疏泄作用に不調が生じると、胆汁の分泌と排泄も悪くなり、脾胃の運化作用にも影響し、胸脇の脹満や疼痛、食欲不振、腹脹、便溏(軟便)などの症状に加えて「胆汁上逆」状態では口が苦く、黄緑色の消化液を吐き出す症候が「胆汁外溢」状態では黄疸が現れる。

 

 

決断を主る

肝と胆の働きは精神意識の活動に密接に関係している。

「肝は謀慮を主る」「胆は決断を主る」といわれている。すなわち、肝がめぐらせた考えに胆が決断を下すことによって、精神意識の活動は正常に営まれているのである。両者はそれぞれ相互関係にあって、切っても切れない関係なのである。さらに胆の決断という働きは、他の臓腑の生理機能にも関与している。

 

内臓はそれぞれ精神活動に一定の作用または影響を持つもので、なかでも、心が主となる、すなわち、司令部となって統一按排するが、決断は胆が主役を演じるのである。例えば、物事についてさんざん考え、思慮をめぐらしても決断のつかない人、優柔不断の人は胆が病気であるとか、胆が虚であるとする。このような人は絶えず不安の状態にあり、決断力が欠乏する。

俗にいう「胆っ玉が大きい」とか「胆っ玉が小さい」という言葉からわかるように胆は心の落ち着きにも関与している。また胆が盛んになりすぎると肝陽偏亢の状態となり、気が短くなり、怒りやすくなる。いつもイライラしている。

 

 

奇恒の腑に属する

胆は胆汁の貯蔵と排泄を行っている。胆汁が直接飲食物の消化を助けているところから、胆は六腑の1つに数え られている。しかし、その反面、他の腑と異なり、胆自身には飲食物の伝化という作用がなく、また「精や気血を蔵さない」という腑の性質に反して胆汁を蔵している。つまり臓に似て臓ではなく、腑に似て腑ではないということになるので、胆は奇恒の腑ともされている 。