湿邪

湿邪<六淫>

湿は長夏(陰暦の6月)の主気であり、一年中で湿気が最も盛んな季節である。湿邪の病には外湿と内湿の違いがある。

外湿は湿気の多い気候、雨に濡れる、長い間湿ったところにいるなどが原因となり、外界の湿邪が人体を侵襲して発病する。内湿は、脾が健全に水液を運化できなくなり、水湿停滞して凝集した病理状態である。
外湿と内涅は異なるが、発病においては相互に影響する。脾虚では内湿が生じるとともに外湿を感受しやすく、外湿が侵入すると脾を傷害して内湿を産生しやすい。

 

湿邪の性質と発病の特徴

湿邪による症候は、自然界の潮湿の気候や水湿の停滞、貯留の現象に類似している。

 

湿が肌表に侵入すると身体や四肢が重くだるくなり、関節に停留すると重く痛んで動作が障害され、分泌物や排泄物も濁って汚いものになってしまう。 湿濁は、清い津液とは違って粘着性が強いと考えられており、湿邪に犯されると分泌物や排泄物がべとついたり、大小便の切れが悪く、なかなか拭き取れないなどの症状があらわれる。

 

湿は重濁で粘滞性の性質を持つので、臓腑経絡中に渋滞すると、気機を阻滞して気機の昇降を失調させたり、経絡の運行を阻害する。昇降の失調には、胃部のつかえ感・嘔吐・大小便がすっきり出ないなどの症状があらわれる。

 

また、湿は水に似ていて陰邪であるため、人体の陽気を損傷するとされるが、陽気の中でも特に脾陽を損傷する。脾は水液を運化する作用を主り、燥を喜び、湿を悪む性質を持つため湿邪が停留すると脾陽が障害されて、下痢・尿量減少・水腫・腹水などの症状があらわれる。

 

湿は「陰邪」気機を阻害しやすく、脾胃を損傷しやすい

湿の性は水に似ており、陰邪である。湿邪が臓腑や経絡に滞ると気機を阻害しやすく、昇降出入の運動が失調され、経絡がスムーズに流れず、胸悶、脘痞、すっきりと排便しない、小便短少などの症状が現れる。

 

湿邪が人体に侵入すると陽気を損傷しやすい。湿邪が脾陽に影響すると、脾陽不振、運化無力となって水湿が停滞することになり、下痢、尿少、腹水、水腫などの症状が発生する。

 

湿の性は重濁

「重」とは重いという意味。湿邪が肌表より侵入して陽気に影響すると、身体がだるい、四肢が重だるい、頭重如裏(頭がものをかぶったように重い)といった症状が現れる。湿邪が経絡、関節に滞ると、気血の流れが悪くなり、肌膚の鈍感(感覚が鈍くなる)、固定性の関節疼痛、沈重、動きにくいといった症状が見られる。

 

「濁」には汚く、不潔という意味。多くは排泄物と分泌物が汚く清らかでないことを指す。これには顔の垢や目ヤニが多い、軟便、或いは粘液便、膿血便、尿の混濁、女性の帯下病、湿疹など湿の穢濁症状が現れる。

 

湿の性は粘滞
  • 湿には粘服(ネバネバベったりと粘着すること)、停滞という性質がある。

  • 湿邪には粘滞性があり、排泄物や分泌物が滞って、すっきりしないなど。

 

湿邪による病の多くは治りにくく、疾病の経過が長くなり、速やかに治癒させがたく、繰り返し再発を見ることもある。

例)湿疹、湿痺、湿温病など。

下降しやすく、下部に侵入しやすい

 

湿には水の流れのように、下へ向い、下に注ぐという特徴がある。そのため、湿邪は人体の下部に侵入することが多く、湿邪は下半身に症状がよく現れる。

例)下肢の浮腫み 、また淋症(尿の混濁)、帯下、脚気、下痢など、湿邪下注によ って発生するものが多い。

 

六淫を表した表