呃逆(しゃっくり)

しゃっくり(呃逆)

しゃっくり(呃逆)は気逆上衝、喉に短い音が頻回に出現し、その発声を自らが制御できないことを主症とする病証である。

 

神経性胃腸疾患、各種疾患による横隔膜痙攣、胃炎、胃拡張症、肝硬変後期、脳血管疾患、尿毒症 などに認められる呃逆の治療には本証を参照する。

 

しゃっくりの原因を表した図

 

<弁証論治>

1.実証

 

(1)胃中寒冷

 

【症状】呃逆声低、緩やか、有力、胃院部不快感 、加温による緩和、冷えによる増悪、食欲不振。舌苔は白潤、脈は遅緩である。

 

【証候分析】寒邪内阻、肺胃の気が不降、隔及び胃院部の不快感をみる。胃気が喉に上逆するため、呃逆の音は低く、緩やかである。温まると緩和し、冷えると増悪するのは寒証の特徴である。食欲不振、舌苔が白潤、脈が遅緩は胃寒の証候である。

 

【治法】温中、散寒、止晦。

 

(2)胃火上逆

【症状】呃逆声が大きく、有力、口臭、煩躁、口渇、冷えたものを好み、小便短赤、便秘。舌苔は黄、脈は滑数である。

 

【証候分析】過食辛辣、過度飲酒、温補剤の過剰投与のため、胃腸実熱をみる。胃火上衝のため、呃逆声が大きく、有力である。胃熱で津液消耗のため、口臭、煩躁、口渇をみる。冷えたものを好み、小便短赤、便秘、舌苔が黄、脈が滑数は胃熱内盛の証候である。

 

【治法】泄熱、通腑、止晦。

 

(3)気逆痰阻

【症状】呃逆連発、胸脇脹悶、症状が情緒に左右され、食欲減退、吐き気、眩暈。舌苔は薄膩、脈は弦滑である。

 

【証候分析】情志憂鬱、肝気犯胃 、胃気上逆のため、呃逆連発をみる。情緒変動は肝の疏泄機能を影響するため、症状は情緒に左右される。肝胃不和、痰湿内停のため、食欲減退、吐き気、眩暈がみられる。舌苔が薄膩、脈が弦滑は肝気旺盛、痰湿内阻の証候である。

 

【治法】降気化痰、和冑止逆。

 

2.虚証

(1)脾胃陽虚

【症状】呃逆声低、無力、息切れ、顔色蒼白、手足の冷え、食欲不振、倦怠。舌質は淡、苔は白、脈は細弱である。

 

【証候分析】脾陽不振、生化不足、昇降失調、清昇降濁失司、胃気不足、虚気上逆のため、呃逆声低、無力、息切れ、食欲不振がみられる。脾陽不足のため、顔色蒼白、手足の冷え、倦怠が現れる。舌質が淡く、苔が白く、脈が細弱は陽気不足の証候である。

 

【治法】温補脾胃、和中止晦。

 

(2)胃陰不足

【症状】呃逆声短、急迫、断続、口舌乾燥、煩躁不安。舌質は赤く乾燥、あるいは裂紋、脈は細数である。

 

【証候分析】熱病で胃陰耗傷、胃失濡養、和降不能のため、急迫な呃逆をみる。胃陰不足、上逆無力のため、断続呃逆がみられる。虚熱内生のため、口舌乾燥、煩躁不安が現われる。 舌質が赤く乾燥、あるいは裂紋、脈が細数は津液不足の証候である。

 

【治法】 生津、養胃、止呃。