血証

血証

血液が血管から溢れて、口、鼻、二陰、あるいは皮膚、筋肉に溢れる疾患である。

血証の範囲は非常に広く、すべての出血を主要な症状とする病証は本証の範囲に属する。本節では咳血、衄血、吐血、血便、血尿など内科疾患を主として紹介する。

 

西洋医学の各種急性・慢性疾病による出血、呼吸器系、消化器系、泌尿器系などの出血や、また造血器系疾病による出血は本節を参考に弁証論治する。

 

血証の原因を表した図

 

<弁証論治>

1.咳血

 

咳血は肺絡の損傷による病症である。血痰、または鮮血をみる。

 

(1)風熱傷肺

【症状】喉痒、咳嗽、痰に血が混じり、口鼻乾燥、あるいは身熱。舌は赤く、少津、苔は薄黄色、脈は浮数である。

 

【証候分析】肺陰素虚、風熱燥邪に犯され、肺の清粛が失調するため、喉痒、咳嗽をみる。熱邪、あるいは久咳で肺絡損傷のため、咳血をみる。口鼻乾燥、舌が赤いは津液損傷の証候である。身熱、苔が薄黄、脈が浮数は外感風熱、肺衛不宣の証候である。

 

【治法】清熱潤肺、寧絡止血。

 

(2)肝火犯肺

【症状】発作性咳嗽、痰血、あるいは鮮血。 胸脇脹痛、煩躁、怒りぽっい、口苦、大便乾燥、小便短赤。舌質は赤く、苔は薄黄色、脈は弦数である。

 

【証候分析】肝火上逆犯肺、肺絡損傷のため、咳嗽、咳血をみる。脇肋は肝経の走行部位で、肝火偏盛、脈絡壅滞のため、胸脇脹痛をみる。肝旺のため、煩躁、怒りぽっい、口苦、大便乾燥、小便短赤などの症状をみる。舌質が赤、苔が薄黄色、脈が弦数は肝火偏旺の証候である。

 

【治法】清肝澤肺、和絡止血。

 

(3)陰虚肺熱

【症状】咳嗽、少痰、痰血、あるいは鮮血、口咽乾燥、顴紅潮熱、寝汗。舌質は赤く、脈は細数である。

 

【証候分析】肺陰不足、肺失清粛のため、咳嗽、少痰をみる。火熱灼肺のため、痰、あるいは鮮血をみる。陰虚火旺のため、顴紅、潮熱、寝汗をみる。陰虚津少のため、口咽乾燥をみ る。舌が赤く、脈が細数は陰虚内熱の証候である。

 

【治法】滋陰潤肺、涼血止血。

 

2.衄血(じくけつ)

衄血は鼻、歯肉、耳、舌及び皮膚などで生じる非外力的損傷による出血を指す。出血部位によって、鼻衄、歯衄、耳衄、舌衄、肌(筋肉)衄と称する。

 

(1) 肺熱

【症状】鼻腔乾燥、衄血、口乾、咽燥、あるいは身熱を伴う。咳嗽、少痰。舌質は赤く、苔が薄く、脈は数である。

 

【証候分析】鼻は肺の竅であり、風熱犯肺、あるいは肺に蘊熱があると血行を妄行させ、その竅に至り衄血をみる。風熱犯肺、肺気失宣のため、発熱、咳嗽、少痰をみる。口乾、舌質が赤、苔が薄、脈が数は熱盛陰損の証候である。

 

【治法】清泄肺熱、涼血止血。

 

(2)胃熱熾盛

【症状】鼻衄あるいは歯衄、出血が鮮明、口渇欲飲、胸悶、口臭、便秘。舌質は赤く、苔は黄色、脈は数である。

 

【証候分析】

過食辛燥、胃腸蘊熱、血行を妄行させるため、鼻衄あるいは歯衄が生じ、鮮明な色の出血をみる。胃熱傷津のため、口渇欲飲をみる。胃熱が上蒸するため、胸苦しさ、口臭をみる。舌質が赤、苔が黄色、脈は数は胃熱熾盛の証候である。

 

【治法】清胃瀉火、涼血止血。

 

(3)肝火上炎

【症状】鼻衄、頭痛、眩暈、目の充血、耳鳴、煩躁、怒りっぽい、口苦、口乾、小便短赤。舌質は赤く、苔は黄色、脈は弦数である。

 

【証候分析】肝気鬱結、気鬱化火、肝火上犯、血行が妄行するため、鼻衄をみる。 肝火上炎のため、頭痛、眩暈、耳鳴り、煩躁をみる。肝は目に開竅するため、目の充血をみる。舌質が赤、苔が黄色、脈が弦数は肝火内盛の証候である。

 

【治法】清肝潟火、涼血止血。

 

(4)気血虧虚

【症状】鼻衄、歯衄、肌衄をみる。精神不振、無力、顔色㿠白、眩暈、耳鳴、動悸、不眠。舌質は淡、脈は細、無力である。

 

【証候分析】気虚、固摂機能低下のため、鼻衄、歯衄、肌衄をみる。血虚のため、顔色㿠白、眩暈、動悸、不眠をみる。舌質が淡、脈が細、無力は気血虧虚の証候である。

 

【治法】補気摂血。

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