気血水の「血」

血の概念

血は、脈管中の赤い液体状の物質であり、人体を構成し生命活動を維持する基本的物質の一つである。血は主として水穀の精微から化生されてできる。血脈には、血液が外に漏れないようにする働きがあることから「血府」と呼ばれている。

血は心が主り、肝に蔵され、脾がこれを統摂することによって脈管中を循行している。血は人体の各臓腑、組織、器官を濡養(栄養)しており、人体にとって不可欠な営養物質である。

 

 

血の生成

血液生成の源は、中焦の脾胃にある。

 

飲食物は脾胃の吸収、運化を経て営気や水(津液)、その他の栄養成分に化成し、それが心・肺に送られ、心・肺の気化作用によりしだいに血に転化し、さらに脈管内にしみこみ、全身に供給される。

 

営気と水は、血を作るために必要な物質である。営気と水は、水穀の精気から作られるので、摂取する食物の栄養価値と脾胃機能は、血液の生成に直接影響がある。栄養のある食物を長期にわたって摂取できなかったり、脾胃の運化機能が長期にわたって悪かったりすると 、血液の生成が不足して血虚の病理変化が発生する。

 

また、腎精は髄を生じ、髄も血に転化し、生成された血の一部分を占める。精と血の源は同じなので「精血同源」ともいわれている。すなわち、精と血は互いに依頼しあい、互いに転化しあう関係がある。精は腎に蓄え、血は肝に蓄え、腎に精気が充実すれば、肝血も充たされ、肝血が充実すれば、腎精も充ちてくる。このように血は水穀の精微、営気、精髄を物質基礎とし、これらが脾胃、肺、心(脈)、腎、肝などの臓器の機能を受けることで生成されている。

 

 

血の作用

血はすべての皮毛、筋骨、経絡、臓腑など全身に栄養を供給し、滋潤するように働いている。この作用は、眼と四肢の運動能力の面によく現れ、血に依頼して始めてそれらの本来の機能を果たすことができる。

 

血によって眼が滋養されれば物をよく見ることができ、足が滋養されれば正常に歩くことができ、掌が滋養されれば物をしっかりと握ることができ、指が滋養されれば、しっかりとつまむことができる。

 

また、血の栄養と保湿する作用により、顔を血色よく潤し、皮膚や毛髪を艶かにする。筋骨、関節は血の滋養を得ることで、筋骨は強くたくましくなり、関節はスムーズに動く。 血が旺盛であれば精神旺盛であり、活発で健康である。

血が不足して各臓腑はそれぞれの滋養を失うと、目は乾いて動かしにくくなり、視力は減退し、関節の動きが悪くなり、肢体や四肢の末端のしびれ、皮膚の乾燥やかゆみなどの症状が現れる。血の生成が不足すると、血の栄養と保湿する作用が減弱し、顔色が悪くなったり黄色くくすんだり髪の毛が細くなったりするなどが見られる。

 

また、血は神志活動の物質的基礎であるので、血が不足すると精神、神志の病変が現れる。心血虚や肝血虚になると、驚悸(驚いて胸がドキドキする)、不眠、多夢などの神志不安による症状が現れやすいのはこれと関係がある。

 

 

血の循行

血は脈管の中をめぐって全身を休みなく循環し、各臓腑、組織、器官の需要にこたえている。血液の運行は心のみならず肝、脾とも密接な関係があり、内臓の共同作用によって正常に保たれている。

 

心は血脈を主り、これは心気の推進作用が血液を循環させる基本的なエネルギーとなっており、血液の循環を支配しているためである。また、血液が肺に集まり、肺気の作用を受けた後、それを全身に散布される。

肝は血をため、全身血液の貯蔵と調節を行っている。心がポンプの役目をしているとすれば、肝は倉庫の役目をしている。

脾は血を統帥しているので、血が脈管の中をうまく循行し、脈外に出ないように支配している。

脈管は高速道路のような役目をしており、必要な所に車が順調に行けるように、車が道路より逸脱しないように支配している。血液の運行は心、肺、肝、脾などの内臓の関連性の中で行われているため、いったんその内のどれかの臓器に機能失調が起こると、血行に異常が生じやすくなる。

 

例)心気虚:血行の推進力低下の現われとして「心血瘀阻」が、また脾虚のために統血作用が弱まると、便血、崩漏、皮下出血などの症状が現れる。

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