不眠

不眠

不眠とは、恒常的に正常な睡眠がとれないことを指す。

不眠の程度は、軽症者では、寝つきが悪い(入眠障害)、睡眠の質が悪い(熟睡感が 無い)、目が覚めやすい(中途覚醒)、あるいは、一旦目が覚めたら眠れないなどの症状から、重症者では、夜通し眠れないまで様々である。

 

不眠には、しばしば頭痛、目眩、心悸、健忘、精神不安定などの症状を伴う。

ノイローゼ、神経症、更年期証候群など不眠を主症状とするものの治療には本証を参照する。

 

不眠の原因を表した図

 

<弁証論治>

1.実証

(1)肝鬱化火

【症状】不眠、煩躁、易怒、食欲不振、口渇欲飲、目赤、口苦、小便が濃色、便秘。舌質は赤、苔は黄色、脈は弦数である。

 

【証候分析】本証の多くは悩みや怒りで肝を傷め、肝失条達、気鬱化火になり、心神が侵されるため、不眠をみる。肝気が胃を侵すため、食欲不振をみる。肝鬱化火で肝火が胃に入り、胃熱が生じるため、口渇欲飲をみる。肝火偏盛のため、煩躁、易怒の症状をみる。火熱上犯のため、目赤、口苦をみる。小便が濃色、便秘、舌質が赤い、苔が黄色、脈が弦数は熱の証候である。

 

【治法】疏肝瀉熱、安神。

 

(2) 痰熱内侵

【症状】不眠、頭重、痰が多い、胸悶、食欲不振、曖気、呑酸、吐き気、心煩、口苦、目眩。 舌苔は黄膩、脈は滑数である。

 

【証候分析】宿食が停滞、湿痰になり、痰熱が生じ、上へ侵したため、心煩、不眠をみる。宿食痰湿が中焦に塞ぐため、胸悶をみる。清陽が抑制されるため、頭重、目眩をみる。痰湿停滞のため、気機不暢、胃失和降になり、食欲不振、曖気、呑酸、吐き気をみる。舌苔が黄膩、脈が滑数は痰熱、宿食内停の証候である。

 

【治法】化痰清熱、和中安神。

 

2.虚証

(1)陰虚火旺

【症状】心煩、不眠、心悸、不安、目眩、耳鳴、健忘、腰酸、遺精、五心煩熱。口乾少津、舌質は赤、脈は細数である。

 

【証候分析】腎陰不足、心腎不交、心肝火旺、火性向上、虚熱が神を侵すため、心煩、不眠、心悸、不安をみる。腎精虧虚、髄海空虚のため、目眩、耳鳴、健忘をみる。腰府失養の ため、腰酸をみる。心腎不交、精関不固のため、遺精をみる。五心煩熱、口乾少津、舌質が赤、脈が細数は陰虚火旺の証候である。

 

【治法】滋陰、清心、安神。

 

(2)心脾両虚

【症状】多夢、目が覚めやすい、心悸、健忘、目眩、倦怠、精神不振、食欲不振、顔色不華。舌質は淡、舌苔は薄い、脈は細弱である。

 

【証候分析】心が血を司り、脾は生血の源である。心脾虧虚で血が心を養えず、神が舎を守れないため多夢、途中覚醒、心悸、健忘をみる。気血虧虚で脳を養えず、清陽が上がれないため、目眩が生じる。血虚で顔を栄養できないため、顔色不華、舌色が淡くなる。脾失健運のため、食欲不振をみる。気血両虚のため、倦怠、精神不振脈、が細弱になる。

 

【治法】補養心脾、生化気血。

 

(3)心胆気虚

【症状】不眠、多夢、目が醒めやすい、驚かされやすい、心悸、気短、倦怠、小便清長。舌質は淡、脈は弦細である。

 

【証候分析】心虚による心神不安、胆虚により驚かされやすい病理を起したため、心悸、多夢、覚醒しやすいをみる。気短、倦怠、小便清長は気虚の証候である。舌質が淡、脈が弦細は気血不足の証候である。

 

【治法】益気鎮驚、安神定志。