瘧湿(ぎゃくしつ)

瘧疾(ぎゃくしつ)

瘧疾とは瘧邪に犯され、寒戦と壮熱などの発作が周期的に生じることが病証の特徴である。夏秋の季節は瘧疾の多発季節である。

マラリア、肝胆疾患、インフルエンザ、敗血症が寒熱往来の症状をみる場合の治療には本証を参照する。

 

瘧疾の原因を表した図

 

瘧証の症状発生病理:

瘧邪が人体を侵し、半表半裏に伏し、営衛の間に出人する。

 

瘧証に到る経緯を表した図

 

<弁証論治>

1.正瘧

【症状】寒戦壮熱が定期的に発作様に生じる。あくび、無力感の後に、寒慄、寒戦後に身体の内外すべてに熱が生じる。頭痛、面赤、口渇(飲料を飲みたがる)。最終段階で、全身発汗し、熱が退き、全身に冷感を覚える。舌は紅、苔は薄白または黄膩、脈は弦である。

 

【証候分析】瘧邪が侵入して、半表半裏に伏する。瘧邪と営衛の間で生じる正邪相争のため、瘧疾の症状をみる。正邪相離、邪気伏蔵、相争停止によって寒熱が休止する。瘧証初期には、侵入した瘧邪が陰と争い、陽気阻過するため、あくびや無力感をみる。邪気が陰に深入し、陰盛陽虚のため、寒慄をみる。

邪気が陰から陽に出ると、陽と争い、陽盛陰虚のため、壮熱、汗出、口渇(飲料を飲みたがる)をみる。最終的には、正邪相離、邪気伏蔵、相争停止によ って寒熱休止をみる。初期には 、舌苔が多 く薄白で、邪気が化熱すると苔が黄膩になる。瘧脈は弦であり、弦緊は寒盛、弦数は熱盛の証候である。

 

【治法】和解達邪。

 

2.温瘧

【症状】熱多寒少、あるいは但熱不寒、発汗不暢、頭痛、骨節酸痛、口渇(飲料を飲みたがる)、便秘、尿赤。舌質は紅、苔は黄、脈は弦数である。

 

【証候分析】素体陽盛から瘧邪に侵入される。または夏傷暑邪、暑熱内蘊、裏熱熾盛のため、熱多寒少、但熱不寒をみる。裏熱熾盛、耗津傷液のため、口渇(飲料を飲みたがる)、便秘、尿赤がみられる。夏季に風寒に侵されると、外束肌表、営衛失和の ため、発汗不暢、頭痛、骨節酸痛が見られる。舌が紅、苔が黄、脈が弦数は暑熱の証候である。

 

【治法】清熱解表、和解怯邪。

 

3.寒瘧

【症状】熱少寒多、または但寒不熱、口渇なし、胸脇疱悶、精神不振、倦怠無力。苔は白膩、脈は弦である。

 

【証候分析】素体陽虚から病邪侵入を受けて裏寒極盛となる。更に寒湿侵入が加わると、陽気外達不能のため、熱少寒多、または但寒不熱をみる。湿邪相挟、寒湿犯脾、運化失司のため、ロ渇なし、精神不振、倦怠無力をみる。少陽不和のため、胸脇悶痞が現れる。苔が白膩、脈が弦遅は寒湿内阻の証候である。

 

【治法】辛温達邪。

 

4.瘴瘧(しょうぎゃく)

(1)熱瘴

【症状】熱甚寒微、壮熱不寒、肢体煩痛、面紅目赤、胸悶嘔吐、煩渇飲冷、大便秘結、小便熱赤、甚だしい場合は神昏詭語。舌質は紅絳、苔は黄膩または垢黒、脈は洪数または弦数である。

 

【証候分析】瘴毒侵入、熱毒内盛、発汗不能のため、熱甚寒微、壮熱不寒、肢体煩痛をみる。熱毒上衝のため、面紅目赤をみる。熱毒内鬱中焦のため、胸悶嘔吐をみる。 熱毒亢盛、耗傷津液のため、煩渇飲冷をみる。熱毒下移のため、大便秘結、小便熱赤 をみる。熱毒上蒙のため、神昏詭語が現れる。舌質が紅鋒、苔が黄膩または垢黒、脈が洪数または弦数は熱毒内盛の証候である。

 

【治法】解毒除瘤、清熱保津。

 

(2)冷瘴

【症状】寒甚熱微、あるいは寒戦・無熱。重症の場合は神昏。苔は白厚膩、脈は弦である。

 

【証候分析】素体陽虚、瘴毒湿濁内蘊、陽気抑阻のため、寒甚熱微、あるいは寒戦・無熱をみる。瘴毒湿濁、蒙閉心神のため、神昏をみる。苔が白厚膩、脈が弦は痰湿内阻の証候である。

 

【治法】芳香化濁、解毒除瘤。

 

5.労瘧

【症状】倦怠無力、飲食減少、自汗、顔色萎黄、消痩、疲労時に瘧疾の再発をみる。 舌質は淡、脈は細無力である。

 

【証候分析】瘧疾日久、気血耗傷、営衛不和のため、寒熱の周期的発作が生じる。久病傷脾、脾胃虚弱、気血生化不足のため、倦怠無力、飲食減少、顔色萎黄、消痩をみ る。営衛不和、勝理不固のため、自汗をみる。舌質が淡、脈が細無力は気血不足の証候である。

 

【治法】益気養血、調和営衛。