風邪

風邪<六淫>

風は春季の主気である。しかし、季節にかかわらず風は吹くので、 これは一年四季すべてに見られる。風邪が起こす病は春季に多いと言っても、春季に限らず他の季節で も発生する。外感疾病の中では、風邪により起こるものが最も多い。

 

また、その他の病邪と一緒に人体に侵入することが多い。中医学では風邪を外感発病のうち、きわめて重要な発病因子と考えている。風邪の多くは、皮毛や肌腺を外から襲って人体に侵入し、その後営衛を不通にし、外風の病症を発生させる。

 

風邪の性質と発病の特徴

風邪による症候は、自然界の「風」が引きおこす現象に類似している。

「風」は来るのも去るのも非常に迅速で、場所の変化が速く、吹いたり止んだり一定せず、流動性が大きいという特性がある。

 

風邪に犯されると人体の皮毛や腠(そう)理(皮膚や肌、筋肉、臓腑などにある細かい隙間)が開いて外邪が体内に侵入し、悪風や発汗などの症状が出やすくなる。

風邪が人体を襲うと人体の上部や外側にある頭部や肌表を犯し、頭痛・鼻・咽・目などの病変を起こすとされている。風邪を感受すると、発病が急速で進行が速く、患部は固定せずに移動し、症状が出たり消えたりするという特徴が見られる。

また、体がふるえたり痙攣したり、あるいはふらつきを感じるめまいなどの症状が現れる。

 

風は「陽邪」その性は開泄、上部や肌表に侵入しやすい:

風邪はよく動き、とどまっておらず、昇発、外泄の特性がある。そのため風邪が侵入して衛気不固となると、皮毛や膝理が開泄し、発熱、悪風、汗が出るなどの症状が現れる。風は陽邪で、軽く上行しやすい特性があるので、人体の上部や肌表に症状が現れやすい。 病位は上と表にある場合が多い。したがって、風邪による病には、頭痛、鼻づまり、咽喉痒痛、皮膚の痒みなどの症状が現れやすい。

 

風はよく巡り変化が早い:

風はその風向、風速が常に急速に変化している。 風邪による病の多くは、時間、部位が固定していないといった特徴がある。 すなわち、遊走不定、変化多変のもの、ときに現れ、ときに隠れるものは「風病」の範囲に入れている。

 

例)苺麻疹では皮膚に痒みがあり、発生するところが一定せず、あちらに起これば、そちらは治まる。また風と寒湿の三気が起こした「痺証」では、関節痛が移動して痛む場所が定まらないが、それは風気が偏盛している証拠なので「風痺」とか「行痺」と称されている。

 

この他風邪に先導された外感病は、急激に発病することが多く、変化が速く、容易にその他の病変へ転化するという特徴がある。

 

風は百病の長:

風邪は六淫中の主な発病因子であり、その他の病邪(寒、湿、燥、熱など)と最もよく合併しやすく、他の邪気はこの風邪と連合して人体へ侵入することが多い。

 

例)風寒、風湿、風燥、風熱などがある。風邪は、痰と結びつき、「風痰」として病を発生させることがある。このように風邪は、外感発病の先導者であるといえる。

 

六淫を表した表