中医内科学

中医内科学

中医内科学とは、中医理論に基づき内科に含まれる病証の病因病機とその証に対する治療原則からなる臨床学である。内科の範囲は非常に広く、一般的に外感病と内傷雑病の二つに大別される。

傷寒と温病からなる外感病は、六経・衛気営血・三焦の病理変化として現れる証候を分析分類することによって、また内傷雑病は、臓腑・気血・津液・経絡の病理変化として現れる証候を分析分類することによって、弁証論治される。

六経と衛気営血病機・病証の基本概念

外感病の弁証は六経弁証と衛気営血弁証を主とする。それぞれ『傷寒論』と『温病学説』の弁証に基づくものである。

六経の病機・病証の基本概念

1.太陽病

主要症状:

悪寒、悪風、頭痛、脈浮を主証とする。または全身酸痛、頭項部の強ばり・疼痛などの症状が見られる。

 

病機概要:

太陽は全身の表を司る。頭項部は太陽経脈の循行部位である。それに風寒を受けるため、頭項部の強ばり・疼痛や悪寒が生じる。

 

治療:

表実無汗の者には、辛温解表の原則に基づき、麻黄湯を用いる。

表虚有汗の者には、調和営衛の原則に基づき、桂枝湯を用いる。

 

2.陽明病

主要症状

陽明経証:身熱発汗、悪寒はなく悪熱する、煩躁、口渇引飲を主証とする。

陽明腑証:潮熱、腹脹・腹満、堅硬拒按、便秘、甚だしければ讃語を主証とする。

 

病機概要:

陽明経証は熱が盛んで、胃津灼傷によって生じるものである。陽明腑証は胃腸実熱・食積・燥屎蘊結に属すものである。

 

治療:

陽明経証の者には、清熱瀉火の原則に基づく。

陽明腑証の者には、攻瀉実熱の原則に基づく。

 

3.少陽病

主要症状:

寒熱往来、胸脇苦満、吐き気、口苦、脈弦などを主証とする。

 

病機概要:

邪気が腠理から侵入し、胆腑に結し、気機不暢、升降不利となる。胸脇は少陽胆経の部位であるため、胸脇苦満をみる。邪正相争のため、寒熱往来をみる。

 

治療:

和解少陽。太陽と少陽が兼証する者には、発汗法を兼用する。少陽と陽明が兼証する者には下法を兼用する。

 

4.太陰病

主要症状:

腹満時に腹痛、嘔吐、食欲不振、下痢、口不渇。舌質は淡、苔白、脈は遅または緩である。

 

病機概要:

脾陽虚弱、寒湿内阻のため、嘔吐、下痢をみる。脾虚気滞のため腹満をみる。中焦虚寒のため腹痛をみる。

 

治療:温中散寒。

 

5.少陰病

主要症状:

悪寒、踡臥、肢冷、脈は微細を主証とする。虚寒の者には、下痢清穀をみる。虚熱の者には、心煩不眠、口乾咽燥をみる。

 

病機概要:

少陰病は心腎両虚に属し、陽虚陰盛のため、四肢が温煦できず、肢冷をみる。あるいは心腎陰虚内熱のため、心煩不眠をみる。

 

治療:

虚寒証の者には、回陽救逆の原則に基づく。

虚熱証の者には、滋陰清熱の原則に基づく。

 

6.厥陰病

主要症状:

消渇、気上衝心(下腹部から胃部につきあげるような衝動感)、心中疼熱、飢餓感があっても食べたくない、蛔虫の吐出などである。四肢厥冷をみる場合もある。

 

病機概要:

上熱下寒、寒熱錯雑、気機逆乱、水穀不運によるものである。

 

治療:温清併用の法に基づく。

 

衛気営血病機・病証の基本概念

1.衛分証

主要症状:

発熱、微悪風寒、無汗または有汗、口乾を主証とする。頭痛、咳嗽、咽痛、頭昏、胸悶、悪心などを伴う。

 

病機概要:

温邪侵入、表衛鬱阻のため、発熱悪寒をみる。風温に偏る場合は、頭痛、咳嗽、咽痛をみる。温湿に偏る場合は、頭昏、胸悶、悪心をみる。

 

治療:

辛涼解表の原則に基づく。挟湿の者には、芳香化湿の原則に基づく。

 

2.気分証

主要症状:

発熱のみで、悪寒なし、口渇、口苦、心煩、咳嗽、尿黄赤、発汗しても解熱しないことなどを主証とする。

 

病機概要:

風温の邪が肺・胃を犯すことと、湿熱の邪が三焦に残ることである。

 

治療:

清熱透邪宣肺の原則に基づく。

 

3.営分証

主要症状:

舌紅絳、脈数、身熱、心煩、口乾、夜寝不安を主証とする、甚だしければ詭語、発狂(精神錯乱)などを主証とする。あるいは斑疹が現れる。逆伝心包の場合は意識昏迷が見られる。

 

病機概要:

温熱内盛、営陰灼傷のため、舌絳、身熱、心煩、口乾が見られる。熱邪が 盛んで心包に陥入した場合は、神昏譫語が見られる。

 

治療:

清営泄熱の原則に基づく。邪入心包の者には、清心開竅の原則に基づく。

 

4.血分証

主要症状:

舌質深絳または鏡面舌、高熱、斑疹紫色、出血、四肢痙攣あるいは痙厥が見られる。

 

病機概要:

熱毒熾盛、陰液灼傷のため、舌質深絳または鏡面舌、高熱をみる。熱が盛んであれば、動血が生じるため、出血をみる。陰血消耗、虚風内動のため、四肢痙攣、痙厥をみる。

 

治療:

涼血解毒の原則に基づく。滋陰熔風の原則に基づく。

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